maro8686のブログ

挿絵~小説~

~王家の船~ ・神風型宇宙駆逐艦ハヤテ

小惑星帯(アステロイドベルト)
火星の公転軌道と木製の公転軌道との
間に存在する、小惑星の公転軌道が集中
している領域に入る直前でハヤテはリープ
アウトした。


木星の敵衛星基地・・そこにその男
ヘルターナー太陽系攻撃隊指令が
まるで王のように君臨している


基地司令所


彼はこの太陽系攻撃と言う栄えある戦争に
勝利し更なる高見に上がることを確信している
「地球など・このターナーにとっては
只の足掛かりにすぎん」


そんなターナー指令の王座の右横に
グラダー太陽系攻撃隊副司令


その前には床に膝をついた姿勢で
シューカー第15戦艦隊隊長と
グローカー第8空母艦隊隊長が控えている


そこに警報が鳴ると同時に未確認艦の
出現が報告された


副司令のグラダーが部下に指示を出す
ここでわざわざ司令官にお伺いを立てては
自分が無能だと言っているようなものだ
「未確認とは何事か!直ちに敵艦の艦名と
艦数を確認し報告せよ!」


グラダー副司令の恫喝的な指示で観測班は
慌てて未確認艦の正体を確認した


「敵艦の正体が判明しました
敵艦名はハヤテ、太陽系防衛隊の
最新鋭艦ハヤテです!」


「なにぃ!?」
其れを聞いたグラダー副司令は語気を強める
ハヤテと言えば地球攻撃部隊を全滅させた
謎の船だ「直ちにメインモニターに映せ!」


基地のモニター画面に一隻の船が映し出された
だが、ハヤテを見た瞬間グラダー副司令の
表情が呆気にとられた物になる
「何だ・・あの船は?」


小さい・・どう見ても戦艦ではない
巡洋艦?いやもっと小さいサイズだ


「敵艦種は駆逐艦・・神風型宇宙駆逐艦だと
判明いたしました!」
報告を聞きグラダー副司令は鼻で笑う
「駆逐艦だと!?」


「敵艦・・数・・一隻!一隻であります」


只の駆逐艦がそれも一隻で
こんな所に来るとは
一体何のつもりなのか?
グラダーには意味が分からない


地球を強襲した艦隊を全滅させたのが
本当にあの駆逐艦だとでも言うのか?
愚かしいにも程がある
地球に潜入させた諜報部隊の
連中は一体何をやっておるのか!?


こんな小物に一々騒いでいたら
ターナー司令官に何と言われる事か・・
グラダーは多少、新鋭艦なら拿捕して
調べるのもありかとも思ったが


たかが地球の科学力で造られた船など
その価値はないと判断した
「直ちに攻撃機を送り敵艦ハヤテを
撃沈せよ!」


数分で敵木星基地より攻撃機が放たれ
ハヤテに接近した


ハヤテのレーダーに敵機の姿が映し出される
「敵機接近」


勝艦長は、誠矢総戦闘隊長に命じる
「全艦防衛体制」


誠矢は命令を復唱し実行する
「全艦防衛体制開始」


やがて敵木星基地より飛来した攻撃機部隊と
神風型宇宙駆逐艦ハヤテの戦闘が始まった


ハヤテの速さは桁違いで、その俊敏過ぎる
動きは攻撃機であっても翻弄されていた
其れを司令室で観ていたグラダー副司令は
「何だあの動きは?駆逐艦だとしても
速すぎる!」


攻撃機の機銃では流石にダメージは
与えられないように見える
「エエイ!此では埒が明かない」


我慢の限界を迎えたグラダー副司令は
ハヤテに対し本格的な迎撃手段を
取ることにした
「エエイ厄介な!」


只一隻の駆逐艦程度に良いように
翻弄されては
太陽系攻撃隊の沽券に関わる


グラダー副司令はターナー司令を見てから
同意を求める目線を送る


グラダー副司令に命じる
ガルスグレーサー星軍の力を見せてやれ
と言うヘルターナ司令の檄が飛ぶ


そして・・・
この判断に問題なしとして
グローカー第8空母艦隊隊長に
命令を下す
「グローカー アステロイド帯に追い込み
地球の新鋭艦を撃沈せよ!」


「命令を承りました!」
そしてグローカーは第8空母艦隊旗艦
グローサタンに乗艦し木星基地を後にした
「第8空母艦隊第一師団出撃!!」


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神風型宇宙駆逐艦ハヤテは木星敵基地から
発進してきた攻撃機隊と交戦を続けながら


アステロイドの小惑星帯に
おびき寄せられていた


勝艦長は誠矢に
「良いか大城!絶対に敵攻撃機に攻撃を当てるなよ
あくまでおびき寄せられている体を装うんだ!」


「ハイ艦長!」
ハヤテの一番弱い火器でさえその威力は
絶大だ攻撃機など掠っただけで爆散する
誠矢は当てない様に悟られないように
攻撃するのにも気を使う。
「こりゃ以外に厄介な仕事だぞ~」


そのハヤテの攻撃精度を見て敵機は
挑発するように翼を振ってからかってくる


このバカ野郎~こっちは当てないように
するのに気を付けてるってーのに
誠矢は敵機の勘違い野郎に解らせてやろうか?
と言う気持ちを必死に抑えた


そしてハヤテは、まんまと敵の誘いに乗って
アステロイド空間を進んでいった
そこにはグローカーの第8空母艦隊第一師団が
待ち伏せていた
「よし!攻撃機全機発進せよ」


グローカー第8空母艦隊隊長の命令で
空母艦隊から凄まじい数の艦上攻撃機が
発艦を開始した


一方  ハヤテ艦内では
真耶がコンピューターの異常を
春吉総科学長に相談している最中だった
「それがここのコンピューターの調子が
おかしいんです見てくれますか?」


春吉は機能を測定し想定外の過負荷が
機器に掛かっているのを知る
「これは・・直ぐに直すのは無理だね」
これはの次に何かを言い掛けて春吉は
言葉を変えた、真耶が昼間倒れたことに
関係する事を今は知られる訳に行かない


「敵機接近数300」
崎景子 総観測長の声が響く


「又か・・後で直すよ真耶君」
春吉は真耶の席から離れる


その時、攻撃機の放った
一発のミサイルがハヤテの
第一司令室の右舷に命中し
その時、真耶の悲鳴が聞こえた


超圧縮構造のハヤテの装甲はビクとも
しなかったのだが、その衝撃が原因で
真耶の席のコンピューターに何らかの
力が働きエネルギーが逆流して
それが真耶の体に流れたのだ


青白いエネルギーサージが倒れた
真耶の体を電流が
流れるようにウネりながら這いずり回る


その衝撃の光景に戦闘中とは言え
誠矢が真耶の名を叫ぶ


西暦2998年
地球はその存亡の危機にあった


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